2025年6月16日
糖尿病には、自己免疫が関与する「1型糖尿病」と、遺伝や生活習慣の影響によって発症する「2型糖尿病」があります。皆さまも「糖尿病」という名前は聞いたことがあるかと思いますが、特に多い2型糖尿病とは、どのような病気なのでしょうか。
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)の濃度が通常よりも高くなる状態が続く病気です。初期には自覚症状がほとんどありませんが、長期間放置すると、全身の血管や神経がダメージを受け、糖尿病性網膜症・神経障害・腎症など、さまざまな合併症を引き起こします。
とくに糖尿病性腎症は、血液透析の導入原因のおよそ半数を占めており、さらに心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気のリスクも非常に高くなることが知られています。まさに、見過ごせない病気です。
私たちの体では、食べ物を口にすると消化酵素によってブドウ糖に分解され、腸から血液中へ吸収されます。血糖値が上昇すると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、糖が筋肉などに取り込まれてエネルギーとして利用されます。これにより、血糖値は正常に保たれています。
しかし糖尿病では、以下のような異常が起こることで、血糖値が下がりにくくなります:
インスリンの分泌が低下する(膵臓の働きの低下)
インスリンがうまく作用しない(肝臓や筋肉のインスリン抵抗性)
遺伝や体質に加え、肥満・食べすぎ・運動不足などの生活習慣が、インスリンの働きを妨げる原因となります。したがって、日々の生活習慣を見直すことが、糖尿病の予防につながります。
糖尿病の治療は、**「食事療法・運動療法・薬物療法」**の3本柱で成り立っています。中でも食事と運動といった生活習慣の改善は、すべての治療の土台となります。
食事のポイント:
適切なカロリーを守り、栄養バランスのとれた内容に
血糖値の急上昇を防ぐために、よく噛んでゆっくり食べる
規則正しい時間に食事をとる
運動のポイント:
ウォーキングや自転車などの有酸素運動で脂肪を燃焼
筋力トレーニングにより代謝を改善
健診などで、**血糖値やHbA1c(ヘモグロビンA1c)**といった糖尿病に関連する数値を定期的にチェックすることが大切です。早期に異常を発見し、適切な対応をすることで、糖尿病の発症や進行を防ぐことができます。
糖尿病を予防し、健康な体を維持していくことが、健康長寿への第一歩です。