2026年10月25日

在宅酸素療法(HOT)は、どのような治療ですか?
在宅酸素療法(HOT:Home Oxygen Therapy)は、病気によって血液中の酸素が不足している方が、ご自宅などで酸素を吸入する治療です。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)や間質性肺炎、肺結核後遺症などでは、肺の働きが低下し、呼吸をしていても十分な酸素を取り込めなくなることがあります。酸素濃縮器などを使って必要な酸素を補うことで、酸素不足による体への負担を軽減します。
治療の必要性は、息苦しさだけで決まるわけではありません。検査で血液中の酸素の状態を調べ、安静時だけでなく、歩行時や睡眠時の変化も踏まえて判断します。
酸素を補うことで期待できる効果
病状によっては、息切れが軽くなり、着替えや歩行などの日常動作を行いやすくなることが期待できます。また、重い慢性低酸素血症を伴うCOPDでは、適切な長期酸素療法によって長期的な生存率の改善が期待されます。
ただし、酸素療法は肺の病気そのものを治すものではありません。吸入薬などによる治療や、栄養管理、呼吸リハビリテーションも継続することが大切です。
自宅ではどう使うの? 外出はできる?
ご自宅では、酸素濃縮器などから細いチューブを通し、鼻に装着する「鼻カニューレ」で酸素を吸入します。酸素の流量や使用時間は、一人ひとりの病状に合わせて医師が決めます。
安静時・歩行時・睡眠時で設定が異なる場合もあります。自己判断で酸素の量を増減したり、中止したりせず、指示された方法で使用してください。
病状に合わせて携帯用酸素ボンベなどを使用すれば、散歩や買い物、通院も可能です。外出前には酸素の残量と使用できる時間を確認しましょう。医師と相談しながら、無理のない範囲で体を動かし、活動を続けることが大切です。
月に1回の通院で、体調と使い方を確認します
当院では、在宅酸素療法を続ける方に、月に1回の通院をお願いしています。 診察では、体調や血液中の酸素の状態、機器の使用状況などを確認し、必要に応じて酸素の流量や治療内容を調整します。
息苦しさが強くなる、発熱する、痰が増えるなど、体調に変化がある場合は、次の受診日を待たずにご相談ください。
安全に続けるために、火気と停電への備えを
酸素には、ものが燃えるのを強く助ける性質があります。酸素吸入中は絶対に喫煙せず、ご家族も近くで喫煙しないでください。 酸素機器の使用中は、装置の周囲2m以内にガスコンロやストーブなどの火気を置かないようにしましょう。
また、家庭用電源で動く酸素濃縮器は、停電すると使用できなくなります。予備の酸素ボンベへの切り替え方や使用可能時間、医療機関・酸素供給業者の連絡先を、あらかじめ確認しておくことが大切です。
費用と治療についてのご相談
在宅酸素療法は、一定の基準を満たす場合に健康保険が適用されます。自己負担額は、保険の負担割合や使用する機器、診療内容によって異なります。酸素濃縮器を使用する際の電気代は、原則としてご家庭での負担となります。
治療を始めるときには、機器の使い方だけでなく、外出や日常生活についても疑問が出てくるものです。気になることは一人で抱えず、ご相談ください。病状と生活に合った方法を確認しながら、治療を続けていきましょう。